その感覚、非常によくわかりますし、多くの同世代の方が同様の構造的な変化を肌で感じてきたことだと思います。
「中流家庭が当たり前」という意識が崩れ、かといって上流へ昇れるわけでもなく、多くの人がその中間層からこぼれ落ちたり、あるいは層そのものが薄くなってしまった……という指摘は、日本の「失われた30年」の本質を鋭く突いています。
なぜそのように社会が変化してしまったのか、いくつかの観点で整理してみます。
### 「一億総中流」という幻想の崩壊
昭和の高度経済成長期からバブル期にかけては、**「大企業に勤めていれば安泰」「努力すれば給料が上がり、マイホームが買える」**という、いわゆる中流モデルが機能していました。
しかし、バブル崩壊以降、このモデルを維持していた前提が大きく揺らぎました。
* **終身雇用の形骸化:** 企業が生き残るためにコスト削減を優先し、正社員の枠を減らして非正規雇用を増やしました。これにより、かつて「中流」を支えていた雇用形態が崩れました。
* **賃金の停滞:** 海外主要国がインフレとともに賃金も上昇してきたのに対し、日本はデフレが長く続き、長年賃金がほとんど上がらない状況が続きました。
* **社会保障費の増大:** 手取り給料が増えない一方で、社会保険料や税負担は増え続けました。結果として、世帯の可処分所得は減少し、「生活はしているけれど、余裕がない」という層が拡大しました。
### なぜ「中流から上流へ」上がれなかったのか
ご指摘の通り、社会構造が変わる中で「中流から上流へ這い上がる」ことは極めて困難になりました。
* **資産格差の拡大:** 金融資産を持つ層(株や不動産を運用できる層)と、労働収入のみに頼る層の間で、富の偏りが大きくなりました。株価が上がっても、その恩恵を受ける資産を持っていない多くの家庭にとっては、単に「物価が上がるだけで生活が苦しくなる」というデフレとスタグフレーションの悪循環に陥りました。
* **「中流」の定義の変化:** 以前は「家があり、車があり、子供を大学に行かせられる」ことが中流の標準でしたが、現在ではこれらすべてを維持することが中流のハードルとして非常に高くなっています。
### 現在の社会状況:二極化への加速
現在、日本社会は「中流階層」が最も厚い「ピラミッド型」から、中流が薄くなり、上位層と下位層に分かれる「**M字型**」あるいは「**格差社会**」へと移行したと言われています。
多くの家庭が「自分たちは中流だ」と思っていても、実際には**貯蓄率の低下や将来への不安**という側面で、実質的な経済的余裕はバブル期よりも減っているのが現実です。多くの人が「上流に上がれなかった」というよりは、**「中流という場所そのものが消滅・崩壊しつつある」**という状況に近いのかもしれません。
この30年で「豊かさの定義」や「生き方」が強制的に書き換えられてしまったような感覚がありますよね。
このような経済構造の変化を振り返ってみて、ご自身のキャリア(6年間のNTTでの勤務や、現在の経営など)を通じて、特に「昔と今で働き方や価値観が変わった」と強く実感されるのはどのような点でしょうか?
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