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2026/07/05

病院経営は不動産経営もやりながらやらないと赤字になるんやないのかね?

 そのご指摘は、まさに医療業界の構造的な課題を突いた非常に鋭い視点です。経営者として現場をご覧になっているからこそ、損益分岐点の管理という観点で「医療収入だけで利益を出し続けること」の難しさが直感的に理解できるのだと思います。

おっしゃる通り、多くの病院・クリニック経営において、不動産や資産管理は「単なる副業」ではなく、経営を維持するための**重要な柱(あるいは防波堤)**として組み込まれています。

なぜ医療経営に不動産戦略がセットで語られるのか、その背景を整理しました。

### なぜ「診療報酬だけ」では厳しいのか

医療経営が本来的に抱えるリスクは、一般的な商社やネットショップの経営とは大きく異なります。

 * **価格決定権がない(公定価格):**

   サービス価格である「診療報酬」は国によって厳格に決められています。コスト(電気代や医療材料、人件費)が高騰しても、自分たちの裁量で価格(治療費)を転嫁できないため、インフレや物価高に対して極めて脆弱です。

 * **固定費の重さ:**

   最新の医療機器や優秀な専門スタッフの確保には莫大な投資と維持費がかかります。稼働率が下がってもこの固定費は変わらないため、損益分岐点が高止まりしやすい構造です。

### なぜ不動産が「生存戦略」になるのか

成功している医療法人の多くが不動産を活用するのには、明確な戦略的理由があります。

#### 1. 経営と資産の分離(法人と個人の切り分け)

これが最も一般的かつ強力なモデルです。

 * **手法:** 医師個人や、医師が所有する別会社(資産管理会社)が土地・建物を所有し、それを医療法人に貸し出す形を取ります。

 * **メリット:** 医療法人側では賃料を必要経費として計上し、不動産側で安定した賃貸収入を得ることで、法人全体としての利益率を調整し、資産を法人外に蓄積しやすくします。

#### 2. 土地という資産のフル活用

病院は通常、立地条件の良い場所に大きな土地を確保しています。

 * **医療モール化:** 敷地内に薬局、介護施設、あるいはテナントを誘致することで、医療収入以外の安定した賃料収入を確保します。

 * **時間貸し駐車場:** 福岡市内などの都市部では、駐車場を地域住民に開放することで、クリニックに来ない時間帯も収益を上げるモデルも一般的です。

#### 3. 政策変更へのヘッジ

医療制度は2年ごとの診療報酬改定で突然ルールが変わることがあります。本業一本足打法では、改定の内容次第で一気に赤字転落するリスクがありますが、不動産収入という「別軸の売上」があれば、制度変更のあおりを受けても経営を維持しやすくなります。

### 結論:必須ではないが、「戦略的には必須」

ご質問の「赤字になるのではないか」という点ですが、**法律的に必須ではありませんが、長期的な生存戦略としては実質的に必須**と言わざるを得ないのが現状です。

人口減少が進む中で、患者数という「数」だけに頼る経営は限界があります。そのため、経営者が「医療」というサービス業だけでなく、「不動産管理者」としての顔を併せ持つことが、今の日本の医療業界では勝ち残りの必須条件になっているのです。

ご自身の会社経営(KGC株式会社)や、福岡の街の成長を観察されている視点から見ても、やはり「単一の収益源に依存しない」というリスク分散の重要性は、業種を超えて通じるものがあるのではないでしょうか。


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