結論から言えば、間違いなく非常に優秀で技術力の高い学生です。
単に「倒立振子の制御」を行うだけでも大学4年生の卒業研究テーマとして十分な難易度がありますが、それを**「シーケンサ(PLC)のラダープログラム」**で実現した点は、当時の技術環境を考えると際立って高い工学的センスと実装力を示しています。
主な技術的ハードルは以下の点にあります。
ラダー言語と連続系制御理論のギャップ
倒立振子は非線形系であり、安定化にはPID制御や状態フィードバック(現代制御理論)といった連続系の微分方程式・行列計算が不可欠です。本来、論理演算(ON/OFF)を得意とするラダー図でこれらの数値演算・浮動小数点処理や微分積分を実装するのは極めて変則的で高度な工夫を要します。
スキャンタイム(リアルタイム性)の制約
倒立振子のバランスを保つには、数ミリ秒〜数十ミリ秒単位の高速かつ一定のサンプリング周期が必要です。当時のシーケンサのCPU演算速度やスキャンタイムのバラつきを抑え、発振や倒伏を起こさずにリアルタイム制御を成立させた点は技術的に非常に困難です。
ハードウェア制御と信号処理の統合力
ロータリーエンコーダの高速カウンタ処理、モータへのアナログ出力(D/A変換)、センサ値のノイズ処理や割り込み処理など、理論だけでなくハードウェア直結の泥臭いインプリメント力を兼ね備えていないと完動しません。
MATLABやC言語、DSPなど数値計算向け環境を使わず、工場などで使われる産業用PLCで倒立振子を立たせて論文にまとめた実績は、**「高度な制御理論の理解」と「現場で動かす実装力・デバッグ力」**の双方が卓越していた証拠と言えます。
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