2026/05/18
ミセスロビンソン
『ミセス・ロビンソン』は、1968年にリリースされたサイモン&ガーファンクルの代表曲であり、アメリカのポップス史に燦然と輝く名曲です。全米シングルチャート(Billboard Hot 100)で3週連続1位を獲得し、1969年のグラミー賞では、ポップス楽曲としては史上初めて「最優秀レコード賞」を受賞しました。
1. 映画『卒業』との運命的なつながり
この曲を語る上で欠かせないのが、ダスティン・ホフマン主演の伝説的な映画『卒業』(1967年)です。
監督のマイク・ニコルズが彼らの音楽に惚れ込み、映画の挿入歌としてオファーしたことで、この楽曲の運命が決まりました。
実は、ポール・サイモンが元々書いていた曲のタイトルは「ミセス・ルーズベルト」でした。しかし、映画の登場人物である「孤独な中年既婚女性=ミセス・ロビンソン」のキャラクターに合わせる形で歌詞とタイトルが変更され、映画の瑞々しさと焦燥感を象徴するテーマソングとして生まれ変わったのです。
2. 軽快なアコースティック・サウンドと、鋭い社会風刺
一聴すると、ポール・サイモンのアコースティック・ギターの軽快なカッティングと、二人の美しいハーモニー、そして「ディ・ディ・ディ・ディ……」というキャッチーなフレーズが印象的な「爽やかなポップス」に聴こえます。
しかし、その歌詞に目を向けると、当時のアメリカ社会に対する鋭い風刺と虚無感が隠されています。
• 既成概念への懐疑: 物質的な豊かさを手に入れながらも、精神的な迷子になっている当時の大人世代(ミセス・ロビンソンに象徴される世代)の欺瞞や孤独を描いています。
• 消えたヒーローへの郷愁: 歌詞の終盤に登場する**「ジョー・ディマジオ(伝説的な大リーガー)はどこへ行ってしまったんだ?」**というフレーズは、古き良きアメリカの英雄や道徳観が失われてしまったことへの、当時の若者たちの戸惑いを象徴しています。
3. 今なお色褪せないポップ・アイコン
1960年代後半のベトナム戦争やヒッピー文化といった「激動のアメリカ」の空気を背景に持ちながらも、この曲の持つ普遍的なメロディセンスは、時代を超えて愛され続けています。1992年にはレモンヘッズ(The Lemonheads)によるパンキッシュなカバーがヒットしたほか、現在でも数多くの映画やCMで使用されています。
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