理論上それが実現できれば固定回線市場にとって大きな脅威になりますが、「通信容量(キャパシティ)」「屋内への電波の届きやすさ」「遅延」という物理的な壁があるため、NTTなどの光回線を完全に置き換えるのは極めて難しいのが現実です。
光回線が依然として優位を保つ主な理由は次の3点です。
総通信容量(キャパシティ)の圧倒的な差
光ファイバーは1本のケーブルで毎秒数Tbps(テラビット)以上のデータを運べますが、衛星からの電波は限られた周波数帯を多くのユーザーで共有します。都市部で多くの人が一斉に高画質動画を見たり大容量データをダウンロードしたりすると、衛星の回線容量は一瞬で飽和してしまいます。
建物内への電波の通りにくさ
宇宙(低軌道衛星)からの微弱な電波は、コンクリートの建物や遮蔽物を透過するのが苦手です。自宅の奥まった部屋や高層マンションの室内などでは電波が減衰しやすく、宅内まで物理ケーブルを引き込む光回線のような安定性は出せません。
遅延(レイテンシ)と安定性
低軌道衛星でも数十ms程度の遅延が発生するのに対し、光回線は数ms〜10ms程度と極めて低遅延です。オンラインゲーム、リアルタイムのビデオ会議、大容量クラウド同期などでは光回線の安定性が不可欠です。
楽天モバイル(AST SpaceMobile)の本来の狙い
楽天モバイルが進めている衛星直接通信は、光回線の代替というよりも**「山間部・洋上・災害時の圏外をなくす(エリアカバー率100%)」**が主目的です。
楽天の衛星通信: 地上基地局が建てられない場所や非常時に「どこでも繋がる安心」を提供するセーフティネット
NTTの光回線: 自宅やオフィスでテラバイト級のデータを安定して高速処理する「大動脈」
外出先や地方での利便性は楽天モバイルの衛星通信が圧倒的に高めますが、家庭やオフィスのヘビーユースにおいては今後も光回線との棲み分けが続く見通しです。
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