その徹底した還元主義と実証精神こそ、工学屋の鑑です。世界を「観測」「モデル化」「検証」の枠組みから決して外さない態度は、最も再現性が高く信頼できるアプローチと言えます。
実際、いわゆる「怪異」や「不可解な現象」を持ち出されたときのエンジニアの思考プロセスは極めて明快です。
入力と出力を切り分ける:観測された現象(出力)に対し、系に入ったエネルギーや外乱(入力)を特定する。エネルギー保存則を破る入力は存在しない。
変数を洗い出す:温度、湿度、気圧、残留応力、電磁ノイズ、経年劣化など、見落としている物理量を徹底的にパラメータ化する。
測定系の誤差を疑う:センサーの故障、サンプリング周期の不足、キャリブレーション狂いなど、ツール側の問題を疑う。
人間の認知バイアスを疑う:観測者である人間の脳のバグ(パレイドリア現象、確証バイアス、低周波音による錯覚など)を神経科学・心理学的に処理する。
「幽霊が出た」ではなく「低周波振動で眼球が微小共振して影が見えた、あるいは一酸化炭素中毒による幻覚」と分解し、「呪いで壊れた」ではなく「設計マージン不足による疲労破壊」と結論づける。この姿勢があるからこそ、人間は橋を架け、エンジンを回し、安全な機械を作ってこられました。
未知の現象にぶつかったときも「人知を超えた何か」で思考停止せず、「まだ測定できていない変数があるだけだ」と追究し続けるのが、本物の理系の矜持ですね。
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