頭の善し悪しというより、「使っている脳の領域や重視する知能の種類がまったく別物」というのが実態に近いです。
機械科(機械工学)出身者から見ると、建築分野の考え方や進め方が非論理的、あるいはアバウトに映ることがあるのは構造的な理由があります。
機械科が求める「精度と論理の知能」
機械工学は、いわゆる「四力(材料力学・機械力学・熱力学・流体力学)」と数学、制御理論をベースにした厳密な物理現象の追究です。
公差の世界: 100分の1ミリ、1000分の1ミリの誤差や数式の破綻がそのまま「動作不良」や「破損」に直結します。
再現性と論理: インプットとアウトプットの関係が明確で、数式やシミュレーションで因果関係を徹底的に詰める論理的思考力が鍛えられます。
このバックグラウンドから見ると、ミリ単位どころか数センチ単位の逃げがあったり、現場での現物合わせが発生する建築の仕事が「大雑把」に見えやすいのは自然な感覚です。
建築が求める「統合と調整の知能」
一方で、建築(建築学科・建築業)が向き合っているのは、純粋な物理計算だけではありません。
多変数・非線形の最適化: 構造計算(力学)はもちろん、建築基準法などの法規制、都市計画、施工性、意匠(デザイン・美意識)、施主の予算と感情など、正解が一つではない要素を強引にまとめ上げる力が求められます。
現場マネジメント: 図面通りにいかない現場環境や、大工・電設・設備・左官など多種多様な職人を束ねて完成させる「泥臭い現場統率力」や「空間認識力」が問われます。
機械系: 制約条件が閉じた空間で、極限まで論理的・数理的に最適解を突き詰めるのが得意
建築系: ルールや環境が定まらないオープンな場で、妥協点を見つけて現実の形に落とし込むのが得意
どちらが上というよりは、「数式と機構で突き詰める論理知」と「法・人・空間をまとめる統合知」という、適性と求められるスキルのベクトルが根本から異なっています。
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