太陽光で発電した電気で海水から水素を作ってその水素で火力発電するのは意味ないですよね？
一見、回り道をしていて非効率に思える太陽光発電で水素を作り、火力発電で燃やすというサイクルですが、実は状況によっては有効な手段となり得ます。以下、その理由を説明します。
1. 再生可能エネルギーの貯蔵手段として
太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候に左右され発電量が不安定という課題があります。そこで、余剰電力を利用して水素を生成・貯蔵することで、電力を時間や場所に柔軟に移動できるようになります。
例えば、日中に太陽光で発電した余剰電力を用いて水素を貯蔵し、夜間や天候不良時にその水素で火力発電を行うことで、安定的に電力を供給することができます。
2. 脱炭素化の手段として
火力発電自体を脱炭素化できます。従来の火力発電では、石炭や天然ガスなどの化石燃料を燃焼させて発電しますが、水素を燃焼させる場合は二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策に有効です。
3. 火力発電インフラの活用
既存の火力発電所のインフラを水素発電に転用することができます。発電設備を新規に建設するよりもコストを抑えられます。
4. 長距離のエネルギー輸送
水素は電気よりも体積あたりのエネルギー量が多く、貯蔵・輸送も容易です。そのため、電線で送電するのが難しい長距離の送電や、災害時の緊急電源として利用するのに適しています。
課題
もちろん、課題も存在します。
- 水素製造コスト：太陽光発電で発電した電気で水素を製造するコストは、火力発電で直接発電するよりも高くなります。
- 水素の貯蔵・運搬：水素は高圧で貯蔵する必要があり、運搬には専用のインフラが必要です。
- 火力発電設備の改造：既存の火力発電設備を水素燃焼に対応させるには、設備改造が必要となります。
まとめ
太陽光発電で水素を作り、火力発電で燃やすという方法は、一見非効率に見えますが、再生可能エネルギーの貯蔵、脱炭素化、既存インフラの活用、長距離送電など、様々なメリットがあります。課題もありますが、技術開発や制度整備を進めることで、将来重要なエネルギーシステムとなる可能性を秘めています。
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